こども みらい ふくしま
15/11/28
はらぺこの毎日では、「気配を感じる」という体験の積み重ねです。
季節の移り変わりの気配を、風や湿度や自然物の変化から感じ取ったり、自分の気持ちの高揚を重ね合わせたりしながら感じたり。
森の動物たちの気配を、足跡や踏み固められたけものみちから見て取ったり、糞や骨や角などと森のそこかしこで出会い、思いをめぐらしたり。
山や水場で祠や石仏などを見つけ、何か大きな存在を受け止めてみたり。
鹿や狸、山の神様や、様々な草花、雨や雪など気配を感じたり、実感を伴う体験をしたりしながら毎日を過ごしています。
目では見えないものを、その周りのものから推測したり、予想したり、物語を創作したり、鼻歌を歌ってみたりと、それはそれは豊かな時間であり、子どもたちにとっても本当に大切な場であり必要な体験だと考えます。
ところが、同じ「目に見えないもの」ですが、福島の子どもたちはまったく種類の違う「目に見えないもの」に脅かされて生活をしています。
当座、痛くも痒くもなく、においも味もしないもの。熱くも冷たくもなく、色も陰もないもの。ただただデジタルメーターの数字を上がったり下がったりしているもの。安全とか安全じゃないとか、様々な人たちが様々なことをいっていますが、よくわからないまま過ごしているもの。特にその「目に見えないもの」は自然が豊かであればあるほど猛威を振るっており、子どもたちが地域の森を歩くことはタブーとなってしまいました。
同時代に同じ国に生きるものとして、そのことについてもっと考え続けるべきではないか?
そんな思いがきっかけとなってこの勉強会が始まりました。
そして現場に行ってみれば、子どもたちのために一肌も二肌も脱いでいる大人たちの存在がありました。
ココロもカラダも日々成長している子どもたちにとって必要な環境を、必死になって整えようとしている大人たちの姿が、私たちの僅かな希望だと感じましたが、その光がすべての子どもたちの上に降り注いではいけないという現実もまた感じました。
家族のこと、地域のこと、仕事のこと、そして子どもたちのこと。あまりにも多くのことを同時に考え、生活を築き、着地点の見えない毎日の中で、バラバラになっていくものを必死に繋ぎとめ、新しい結びつきにささやかな希望を見出している状況に、私たちは答えを持ちえません。どこをひっくり返しても答えなど出てはきませんが、「問い」はそこかしこに見え隠れしています。
ささやかながら「考える」ことを続けていく。あらためてそこに杭をうちたいと思っています。
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